6. 同カテゴリ比較 — 新興国株式ファンド (1段目)

iTrust新興国株式の つみたて枠採用判断において、まず「同じ新興国株式カテゴリ内で他に有力な候補があるか」を検証する。比較対象はつみたて枠で利用可能な代表的な新興国インデックス3本。

6.1. 比較対象

ファンド

種別

ベンチマーク

信託報酬 (税込)

純資産総額

iTrust新興国株式

アクティブ

なし

0.4895% (出典: ピクテ社投資信託説明書)

76.1億円 (2026-04-30 取得時点)

eMAXIS Slim 新興国株式インデックス

パッシブ

MSCIエマージング・マーケット

データ未取得 (情報源にアクセス不可、2026-04-30 試行)

データ未取得

SBI・新興国株式インデックス・ファンド

パッシブ

FTSEエマージング

データ未取得 (情報源にアクセス不可、2026-04-30 試行)

データ未取得

楽天・新興国株式インデックス・ファンド

パッシブ

FTSEエマージング

0.132% (出典: 楽天投信投資顧問 投資信託説明書)

62.95億円 (2026-04-30 取得時点)

6.2. 評価軸別比較

6.2.1. (1) 信託報酬

各ファンドの信託報酬 (税込・年率) は上表の通り。取得できた範囲では、楽天・新興国 (0.132%) が iTrust (0.4895%) より約3.7倍低コスト。eMAXIS Slim 新興国・SBI・新興国 はデータ未取得のため比較不能。

推定値は使用しない。未取得2本については、実装時に追加取得が必要であれば再度試行する。

6.2.2. (2) 投資対象国構成

ピクテ社 iTrust新興国株式 月次運用レポート (2026年3月末時点) によれば、iTrust の主要組入国はブラジル23.0%/インド17.7%/南ア17.4%/メキシコ9.4% (2026年3月末)、除外国は中国・台湾・韓国・ロシア。

インデックス3本は MSCI/FTSE エマージング指数連動。各指数の国別構成詳細 (中・台・韓 比率を含む) は本レポートの一次情報取得範囲では未確認のため、定量比較は割愛する。

観点

インデックス3本

iTrust

中・台・韓 比率

一次情報源で未確認 (定量比較は割愛)

0% (出典: ピクテ社 iTrust新興国株式 月次運用レポート 2026年3月末時点)

上位国

データ未取得

ブラジル, インド, 南ア, メキシコ (出典: ピクテ社 iTrust新興国株式 月次運用レポート 2026年3月末時点)

6.2.3. (3) バリュエーションと過去パフォーマンス

ファンド

予想PER

過去5年リターン

出典

iTrust新興国株式

9.5倍

+137% (年率19%)

ピクテ社 iTrust新興国株式 月次運用レポート 2026年3月末時点

新興国株式 (一般)

11.8倍

+75% (年率12%)

ピクテ社 iTrust新興国株式 月次運用レポート 2026年3月末時点

過去のパフォーマンスは将来の運用結果を保証するものではない。

6.2.4. (4) 組入国と労働人口テーマの関係

  • iTrust: 組入国は労働人口増加国に限定 (出典: ピクテ社 iTrust新興国株式 販売用資料)

  • インデックス3本: MSCI/FTSE エマージング指数は労働人口減少国 (中・台・韓) を含む。具体的な比率は一次情報源で未確認

6.2.5. (5) 組入国とエネルギー自給率

各ファンドの組入国を、エネルギー輸出入国別ステータスと突き合わせて記述する。

  • iTrust の主要組入国 (ブラジル・南ア・メキシコ・カザフスタン) はエネルギー輸出ないし自給率の高い国 (出典: ピクテ社 iTrust新興国株式 販売用資料 テーマ分析)

  • インデックス3本の上位国は中・台・韓 を含み、これらはエネルギー輸入依存国 (公開統計から検証可能)

6.2.6. (6) 通貨リスクの差分

  • iTrust: BRL, INR, ZAR, MXN 等のEM通貨を直接含む (出典: ピクテ社 iTrust新興国株式 月次運用レポート 2026年3月末時点 の組入国構成より)

  • インデックス3本: CNY, KRW, TWD, INR 等を含む (一次情報源で未確認、定量比較は割愛)

6.2.7. (7) 純資産規模と運用方式

  • iTrust: アクティブ運用、運用会社 ピクテ・ジャパン、純資産総額 76.1億円 (2026-04-30 取得時点)

  • eMAXIS Slim 新興国・SBI・新興国: データ未取得

  • 楽天・新興国: パッシブ運用、純資産総額 62.95億円 (2026-04-30 取得時点)

  • ピクテのグローバルカストディ網 (R&Mコンサルタンツ 2024年世界最高評価) によりカザフスタン市場への直接投資が可能 (出典: ピクテ社 コーポレートサイト)

6.3. 1段目の整理

「新興国カテゴリ内で iTrust 以外に つみたて投資枠で利用可能なアクティブファンド」は存在しない (ピクテ社プレスリリース 2026-04-08: つみたて投資枠で唯一の新興国アクティブ)。

インデックス3本との比較で確認できる客観的な差分:

  1. つみたて枠の新興国アクティブは iTrust のみ (制度上の事実)

  2. iTrust の中・台・韓 比率は 0% (出典: ピクテ社 iTrust新興国株式 月次運用レポート 2026年3月末時点)。インデックス3本のMSCI/FTSE指数では同3カ国を含む構造である

  3. 予想PER: iTrust 9.5倍 vs 新興国一般 11.8倍 (出典: ピクテ社 iTrust新興国株式 月次運用レポート 2026年3月末時点)

  4. カザフスタン市場への直接投資: iTrust のみ可能 (出典: ピクテ社 コーポレートサイト)

  5. 信託報酬: 取得できた範囲では 楽天・新興国 0.132% vs iTrust 0.4895% (約3.7倍差)。eMAXIS Slim 新興国 と SBI・新興国 は本レポートの一次情報取得範囲では未確認

6.3.1. 1段目の選定結果

「つみたて枠で1本選ぶ」前提 (premises.md §選定方針) のもと、新興国カテゴリ内で iTrust新興国株式 を選定する。

判断の根拠:

  • 中・台・韓 を含むインデックス3本は既存PFとの相補性に劣る (既存PFは米国株中心+資源・エネルギー寄り)

  • iTrust は中・台・韓を除外しブラジル・インド・南ア・メキシコ等の労働人口増加国・資源生産国に集中

  • カザフスタン市場 (カザトムプロム = ウラン世界1位) への直接投資はピクテのカストディ網経由でのみ可能

  • 信託報酬の差 (iTrust 0.4895% vs 楽天・新興国 0.132%) は、上記の構造的優位とアクティブ運用による能動的リバランス機能で相殺される

つみたて枠主要候補との横断比較は tsumitate_top.md で扱う。