2. 前提¶
2.1. 投資前提¶
投資ホライズン: 10年以上 (つみたてNISA一般想定)
2026年つみたて枠: 120万円 未使用 (年内活用判断)
2.2. 選定方針 — つみたて枠で1本のファンドを選定する¶
つみたて投資枠は年120万円、長期積立向けの制度設計のため、枠内で1本のファンドを選定する 方針とする。複数ファンドへの分散は既存PF全体で実施可能であり、つみたて枠単体での分散は意義が薄い。
本レポートは「つみたて枠で1本選ぶ」前提のもと、候補ファンドを比較・評価し、選定理由をまとめる。
2.3. 既存ポートフォリオ¶
本レポートはプライバシー配慮のため具体銘柄・金額は記載せず、既存PFの戦略的特徴のみを以下に整理する。
米国株を中核 (NISAつみたて・成長枠ともに)
ゴールド比重大 (NISA成長枠主要・特定口座にも組入)
日本の資源・商社・エネルギー・高配当株を保有
J-REIT を保有
テーマ的にコモディティ・資源・エネルギーへの傾斜が明確
なお、ドイツ株インデックス (DAX) と ひふみプラス (旧NISA) は本レポートの判断対象から除外する。前者は保有比率が小さく、後者は新NISA枠の意思決定に関与しないため。
2.4. 新興国エクスポージャーの分解¶
注釈
「エクスポージャー」について
ファイナンスにおける「エクスポージャー」は文脈に応じて以下のいずれかを指す:
想定元本 (notional): 保有資産の時価総額そのもの
リスクファクター感応度: ある要因 (通貨・金利・コモディティ価格等) が動いたときの PnL 反応量
Look-through: 法的保有とは別に、原資産・最終事業活動まで辿って捉えた経済的所有量
delta / beta: 派生商品・指数に対する数学的感応度
本レポートでは、これらを束ねた広義の用法として、特定リスク要因 (国・通貨・コモディティ等) に対してポートフォリオの損益が反応する経路の総称 を「エクスポージャー」と呼ぶ。単なる保有時価 (notional) には限定せず、保有を介する直接経路と、売上・利益・価格を介する間接経路の双方を含む。
以下のレイヤー分解では、本レポートの他章で多用される表現との対応は次のとおり:
(a)(b) → 「直接エクスポージャー」(EM株式・EM通貨建て資産そのものの保有)
(c)(d)(e) → 「間接エクスポージャー」(Look-through 売上/利益・コモディティ価格・先進国指数経由の経済リンク)
「新興国エクスポージャー」は単一の指標ではなく、以下のレイヤーで定義する。
レイヤー |
定義 |
既存PFでの状態 |
|---|---|---|
(a) 直接EM株式 |
EM上場銘柄・EMインデックス/アクティブファンドの保有 |
ゼロ |
(b) EM通貨建て資産 |
BRL, INR, ZAR, MXN, IDR 等の建値資産 |
ゼロ |
(c) Look-through 売上/利益 |
日本企業を通じてEM諸国で計上される売上・操業利益 |
相当程度あり (商社・資源株経由) |
(d) コモディティ経由のEM経済リンク |
金/原油等の価格を通じた間接的なEM経済との連動 |
あり (ゴールド・エネルギー関連株) |
(e) 先進国指数経由のEM収益 |
S&P500/全米株指数 構成銘柄の海外売上比率を通じた間接 |
小〜中 (Apple, Microsoft 等のEM事業を経由) |
iTrust新興国株式が新たに加えるのは主に (a) と (b) であり、(c)(d)(e) は既に保有済み。両者はテーマこそ重なるが、引き受けるリスクファクターの種類が異なる。
観点 |
(c)(d)(e) 経由 (現状) |
(a)(b) 直接 (iTrust 採用後) |
|---|---|---|
地政学・地場規制リスクの引受け |
限定的 (日本企業・米国企業がリスク管理) |
直接引受け |
通貨ボラティリティ |
JPY/USD ベース |
EM通貨直接 |
バリュエーション乖離の享受 |
享受せず (各日本企業のPER) |
享受する (iTrustのPER 9.5倍) |
政治・選挙等のローカルニュース感応度 |
低 |
高 |
流動性リスク |
低 |
中〜高 |
したがって本レポートの判断軸は「EM経済テーマの二重取りか否か」ではなく、「iTrust が提供する直接EM株式・EM通貨・EM市場固有のバリュエーション という追加リスクファクターを取りに行くべきか」である。