4. 構造的成長テーマ — 労働人口増加と新興国経済

iTrust の根幹テーマは「労働人口増加国への厳選投資」である。本章ではこのテーマの論理と数値根拠、既存PFとの関係を整理する。

4.1. 経済成長の好循環

労働人口の増加は単なる労働供給ではなく、以下のサイクルを通じて経済を活性化させる。

4.2. 2026年実質GDP成長率予想 (IMF)

区分

2026年実質GDP成長率予想

新興国 (労働人口増加国)

3.7%

新興国 (労働人口減少国)

2.4%

先進国

1.6%

労働人口増加国は減少国比 +1.3pt、先進国比 +2.1pt のプレミアムが期待されている。

4.3. 組入国構成と除外国の論理

主要組入国 (2026年3月末時点)

構成比

ブラジル

23.0%

インド

17.7%

南アフリカ

17.4%

メキシコ

9.4%

除外国: 中国・台湾・韓国・ロシア (労働人口が減少に転じているため)

一般的な MSCI/FTSE エマージング指数では中・台・韓 で約60% を占める (出典: ピクテ社 iTrust新興国株式 月次運用レポート 2026年3月末時点) ため、iTrust は構成銘柄レベルで全く別物となる。

直近のリバランス: 経済情勢・バリュエーション・流動性を総合判断し、中東 (サウジ・UAE 等) を引下げ、ブラジル +5.0%、インド +4.6% へシフト。

4.4. バリュエーションの整合 — 成長と割安の両立

資産クラス

予想PER (2026年3月末)

iTrust 新興国株式 (労働人口増加国)

9.5倍

新興国株式 (一般)

11.8倍

先進国株式

18.4倍

インド株式

19.4倍

米国株式

19.9倍

世界情報技術株式

21.4倍

高成長期待にもかかわらず、iTrust の予想 PER は他カテゴリと比べ顕著に割安。

過去5年実績: iTrust +137% (年率 19%) vs 新興国株式一般 +75% (年率 12%) — 大幅アウトパフォーム。

4.4.1. 過去5年累計リターン推移 (主要指数比較)

過去5年累計リターン推移 (2021年4月末〜2026年4月末, 円ベース, 2021年4月末=100)

5年累計リターン (円ベース):

ファンド/指数

累計リターン

2021/04→2026/04

iTrust新興国株式

+143%

100 → 243

MSCI EM (EEM)

+70%

100 → 170

MSCI ACWI

+120%

100 → 220

S&P500 (SPY)

+150%

100 → 250

4.4.1.1. 5年累計リターンの読み取り

  • iTrust は MSCI EM (新興国一般) を大幅上回る (+143% vs +70%)。労働人口増加国厳選の選別効果が現れている

  • iTrust は MSCI ACWI (世界株式) も上回る (+143% vs +120%)。グローバル市場全体に対して相対優位

  • iTrust は S&P500 にはわずかに及ばない (+143% vs +150%)。直近5年は米国大型株が突出して強い局面で、円ベースでは円安効果も加わっている

  • 2024年〜2025年は iTrust が一時下落 (181 → 174) する局面があり、ボラティリティが他指数より大きい点も読み取れる

4.4.1.2. データソース・換算方法

  • iTrust新興国株式: ピクテ・ジャパン公式ファンドページの基準価額時系列 JSON (https://www.pictet.co.jp/fund/iemereq/ のチャートデータエンドポイント、分配金再投資後)、月末値で集計、アクセス日 2026-04-30

  • EEM (iShares MSCI Emerging Markets ETF): Yahoo Finance 月次終値、アクセス日 2026-04-30

  • ACWI (iShares MSCI ACWI ETF): 同上

  • SPY (SPDR S&P 500 ETF): 同上

  • USDJPY 為替レート: Yahoo Finance 月次終値、アクセス日 2026-04-30

  • 円換算: USD建ての ETF 価格 × USDJPY レート = JPY換算価格。各指数を 2021年4月末 = 100 として正規化

  • ETF は実物投信ではなく米国上場 ETF を指数のプロキシとして使用 (信託報酬控除前のため、実投信のリターンとは僅差で異なる)

過去のパフォーマンスは将来の運用結果を保証するものではない。本グラフは円ベース換算で iTrust 採用判断の参考情報として提示するものであり、特定の投資対象を推奨するものではない。

4.5. 既存PFとの関係 — 成長ドライバーの分散

  • 既存PFの中核 (S&P500/全米VTI) は「企業の生産性向上・テクノロジー覇権」軸の成長

  • iTrust は「人口動態変化」軸 — 全く異なる成長ドライバーへの分散になる

  • 米国も移民流入により労働人口は緩やかに増加中だが、PER 19.9倍と割高水準

  • iTrust 採用は「成長ドライバーの分散」+「割安資産への置き換え」の二重の意味を持つ

4.6. 注意点

  • インド (17.7%) は本ファンド組入国でも PER 19.4倍と割安ではない (国別では割高側)。組入比率の動向に注意

  • 為替リスク (BRL, ZAR, MXN の変動) が円ベースのリターンを大きく振らせる

  • 「労働人口増加」は20-30年スパンの構造変化であり、短期的な経済指標と必ずしも一致しない

  • 各国が労働人口増加局面を脱した後 (人口ボーナス終了後) のリバランスは運用会社の判断に委ねられる

4.7. 本章のまとめ

  • 労働人口増加 → 資本流入 → 生産性 → 消費 → 再投資 の好循環は IMF GDP 予想にも反映 (3.7% vs 1.6%)

  • iTrust は中・台・韓を除外することで、一般 EM 指数と全く別の構成

  • 「成長」と「割安」が両立 (予想PER 9.5倍, 過去5年 +137%)

  • 既存PF (米国株・ゴールド・日本資源株) と「成長ドライバー」が異なる